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≪取扱作品≫
・長編『宇田川社警護部特殊警護課K班 -再試行&再生&再利用-』
・短編集『それはつめたくてあたたかいもの』

2016年12月22日

不器用で、遠回りで、そして歪な、恋の物語



 路地裏で目を覚ました俺は、それまでの記憶を失っていた。
 右手には、やけに手になじむ拳銃が一丁。
 後ろの正面には、死体の山。
 返り血をたっぷりと吸い込んだスーツが、じっとりと俺の身体に纏わりつく。

「――宇田川社警護部特殊警護課K#ヌ班長、清風(きよかぜ)」

 そこに現れたのは、死神を連想させる大鎌を持った少女だった。
 少女を見た瞬間、俺の中では「やっと会えた」という歓喜の渦が巻き起こる。
 上限なしに舞い上がっていく感情は、しかしこの状況には不似合い過ぎて、我ながら恐怖を覚えた。

「やっと見つけた――殺人鬼!」

 しかし喜ぶ俺とはうらはらに、少女は大鎌を構えると一目散に駆けてきた。
 そうして俺は業務妨害の殺人鬼として、宇田川社に拘束されることとなる。


「手掛かりがあるとすれば、貴方が四鬼である、ということくらいでしょうか」
「しき……?」
「四つの鬼と書いて四鬼です。知らないですか?」
 四鬼。
 それは先の大戦の最中、生物兵器のひとつとして開発された異能力者を指す単語だ。
 彼らは火や水を思うがままに操ることができれば、その身ひとつで自由自在に空を飛ぶことだってできる。
 夢のような能力を持つ彼らの身体には、生まれつき菊の紋章が刻まれており、戦時中は英雄として崇め奉られもした。
「貴方のは、首にあります」
「それなら俺からは見えないよねー。……なに、これ」
「それはくび……いえ、チョーカーです」
「いや今明らかに首輪って言いかけたよね?! どうしてそんなものが俺の首に嵌められてんだよっ!」


「いつつみ、えあ?」
「そうそう。たぶんそれが、殺人鬼くんの名前なんだと思うよ」
「漢字でどう書くの?」
「さっき言った通り、『ごみ』と『くうき』」
「…………」
「じゃあ殺人鬼くんの呼び名は『五味空気』ってことで」
 自分の名前がわかっても、蘇る記憶はひとつもなく。

 思い出すのは、死体の山と、そこで『誰か』を待つ俺。
 誰を待っているのだろう。わからない。

「さて、それならもうお前が生きてる意味はないな。さっさと死ね」

 一緒に『誰か』を待っている奴がいる。
 けれど、そいつはいつまで経っても姿を見えない。
 声だけが、聞こえてくる。
 なあ、俺は一体お前と『誰』を待っているんだ?
 尋ねても、答えの代わりに俺は殺され、意識はそこで途絶える。


「全くもう、うらやま……じゃなくて、けしからんです」
 俺が何者であるかを証明する為、検査を行う女子中学生。

「さあて、楽しいことしようぜ。詳しいことは、その身体に直接訊くからよ」
 検査と称して本気で殺しにかかってくる、医者猫男。

「おいおいおいおいふざけてんじゃねぇぞ殺人鬼。頭すっきりさせ過ぎてんじゃねぇかよクソ野郎が!」
 宇田川社警護部特殊警護課課長を名乗る、隻腕の狼女。

「ねぇ清っち離してくれないかなぁ……そんな風に女子高生から全力で腰に抱きつかれちゃったら興奮して死ぬに死ねなくなっちゃうよ僕はこれから首を吊って死ぬんだ邪魔はしないでほしい……」
 極端な可愛いもの好きにして自殺癖のある、情報屋。

 多方面のプロの手を頼ってもなお、俺の正体を突き止めるには至らない。
 わかっているのは、俺が人殺しであるということだけ。



「貴方に死なれたら困るんです。会社の為にも――なにより、私の復讐の為にも」

 少女は言う。
 業務妨害の犯人である俺に。
 そして、五年前に彼女の両親を殺した犯人であるかもしれない俺に。
 けれど俺の記憶は、戻る気配すら見せない。

「もっと自分を大切にしてください」
「うん、そうする」
「記憶が戻るまで、死んじゃ駄目ですからね」
「うん」
「貴方が犯人だったら、私が貴方を殺すんです」
「うん」
「私が殺すまで、死んじゃ駄目ですよ……!」
「うん」
 俺だってもうわかっていた。
 だけど、駄目だ。
 その先を、俺は、知ってはいけない。


「――取引だ、■■■■」
「じゃあ、やくそく。ゆーびきーりげーんまん、うそついたーら、はりせんぼーんのーます」
「……ゆーびきった」
 


→ → → 『宇田川社警護部特殊警護課K#ヌ』

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……というわけで、本日よりカクヨムにて、『宇田川社警護部特殊警護課K#ヌ(以降、K)』を公開いたしました!
長編を公開するときには恒例となった予告を書いてみましたので、上の文章を読んで興味がわいたかたはリンクからどうぞ。

今回投稿した『K』は、カクヨムweb小説コンテストにエントリーしています。
これは読者選考による上位作品が最終選考へと進む方式のコンテストとなっております。
なので、閲覧・評価等々、何卒よろしくお願いいたします……!
登録してないかたがいらっしゃいましたら、是非カクヨムに登録してくださいね。

そういうことなので、ブログでもTwitterでもやかましいくらいに宣伝していきます。
少し宣伝するだけだとスルーされて終わってしまうので、しつこいくらい宣伝させていただきますぜ。

改めて、『宇田川社警護部特殊警護課K#ヌ』を、よろしくお願いいたします!
posted by 爽川みつく at 16:58| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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